IoTとイノベーションの罠(後編) 〜なぜ企業はIoT市場でレッドオーシャン祭りに突っ込むのか?〜 さて、「 IoTのイノベーションの罠(前篇) 」から続いて、論を進めたいとおもいます。 さて、どうして企業は「 Me-tooイノベーション 」に陥ってしまうのでしょうか?その大きな原因は、企業の意思決定プロセスと予算にあります。 意思決定プロセスと予算確保のため 組織で運営している企業の中では、イノベーションを起こすためには予算確保がマストです。サラリーマンであれば、何をするのも「まず予算!」、予算がなければ何もできないという思考に陥ります。 したがって、まず自分の上司である課長、その上の上司である部長、その上の上司である統括部長、その上の上司である事業部長、その上の執行役員、その上の上司である専務や社長を説得するため、漏れ・ダブリのないMECEなロジカルな説明が必要になります。 したがって、以前の記事である、「 イノベーションにおけるロジカルシンキングの罠 」で書いたように、ロジカルシンキング的なプロセスで新規事業や、自社製品開発を企画します。 多重構造の組織の中の人間を「感情」ではなく、「ロジカル」に説得する必要があります。ロジカルシンキングのもっとも重要なポイントは、 ロジックを組み立てるファクトや前例があること 。つまりは似たような製品・サービス・ビジネスモデルが存在しており、すでにそれが成長し収益を上げていることが前提となります。 その前例が結果はともあれ、外から見ると派手で何となくうまくいってそうな感じなのかもしれませんが、それらの事例を詳細に調べてみると、あまりうまくいっていなかったり、あるいはすでに競合が雨後の筍のごとくたくさん現れていたりします。 したがって、Me-too(僕も、わたしも)イノベーションがもっとも効率の良い先行事例をお手本にすることは極めて安全で、ある意味でまっとうな選択肢となります。 助成金確保のため 中小企業で何らかのイノベーションを起こすため、多くの中小企業の方々が活用するのは助成金です。モノづくり関連の助成金は、直近の収益としては見込めないが、将来必要と思われる技術に投資するものや、まだ市場があるかどうかわからないリスキーな...