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マインドフル・ビジネスについての考察(後半)その市場規模はどれくらいあるのか?

マインドフル・ビジネスについての考察(後半)

その市場規模はどれくらいあるのか?

 
 前回のブログ「マインドフル・ビジネスについての考察(前半)の宿題で、マインドフルネスの市場規模がどの程度あるのかということを探るべく、いろいろ調査して探ってみました。


 はたして、マインドフルネス市場の大きさはどの程度なのだろうか?という疑問から、海外の調査レポートなど散々に検索しても、それらしき数字は出てきませんでした。


 海外のWEBを探ると雑誌フォーチュンのこのこのような記事NYCの関係者がまとめたMBSR(Mindfulness-Based Stress Reduction Program)の市場規模などを見つけることができました


 そもそも、未だマインドフルネス市場は立ち上がっていないのかもしれませんし、立ち上がっていない市場を予想するのは非常に難しいのだと思われます。


 結果としてマインドフルネスの市場規模と明確なデータを見つけつることが出来なかったので、完全なる私的な推測で市場規模の予測をしてみようとおもいます。


 まずは、マインドフルネス・ビジネスとしてどのような市場カテゴリーがあるのかということを以下にまとめてみました。


1. IoT&ものづくり


 IoTとモノづくりの市場におけるマインドフルネス市場の予想を考えてみましょう。マインドフルネスのブームとともに、自宅でも坐禅や瞑想を行う方が増えてきています。


 自宅の近くに禅寺があるような恵まれた方は、定期的にお寺に通い指導をしていただけば良いのだとおもいますが、そうではないメディテーターのために、IoTを用いて瞑想をアシストするような必要性が出てくるのだとおもいます。


 そこで、IoT市場でも、先の取り上げたMUSEのようなマインドフルネス瞑想をアシストするような製品が登場すると思われます。マインドフルに特化したセンサーのようなバイタルセンサーなども含まれると考えれられる。この数字はあくまでも既存の市場データを参考にして、非常にざっくり算出してみました。


マインドフルデバイス MUSE 参照URL:http://www.choosemuse.com/


自動車・AI・ロボット分野でもひろがる「マインドフル・ビジネス」の可能性


 MuseのようなIoTデバイスだけではなく、将来は自動車などのモビリティ分野でも、車の運転ハンドルから心拍数や体温、呼吸数などの人体データー取得し、運転者の心理状態を予測して、運転者の心理状態を運転するに最適なものに誘導するような仕組みが考えられます。


 例えば、運転者の精神状態が、興奮状態にあれば、落ち着くための音楽や、匂いを車内に提供し、最適な心理状態にして、事故率を下げたりするような装置のカテゴリーも、実は人の心の能力(集中力)を高めたりというアプローチになるので、マインドフル・ビジネスに入っていくのではないでしょうか。


 同じように、バイタル・センサーにより、生体情報を読み取り、そこからクラウド上にデータを飛ばして計算を行うことで、心理状態を推察できるようになると、人の心がわかる各種デバイスが出来上がるようになります。


 ところで、Appleの最新IOS10でもApple Watchとして連携し、生体データを取得していくデータロガーの中のヘルスデータのカテゴリーの中に、マインドフルネスが追加されたということで、今後、マインドフルネスのニーズがいかに高まっているのかがわかり、このような流れは加速していくことでしょう。




 また、その他の事例として、最近、川崎重工が発表した「人格を持つ“AIバイク”」コンセプトの中でも、 ”ソフトバンクグループのcocoro SBが開発した「感情エンジン・自然言語対話システム」を活用。ライダーの話す言葉から意思や感情をAIが理解し、言語を使って意思疎通する。ソフトバンクグループのcocoro SBが開発した「感情エンジン・自然言語対話システム」を活用。ライダーの話す言葉から意思や感情をAIが理解し、言語を使って意思疎通する。” とされています。


 このコンセプトはユーザーの感情からバイクのセッテイングなどを少しづく変えていくということでありますが、将来的にはユーザー側に音や振動、対話などを通じてユーザーの心を落ち着け、運転に最適な心理状態へ整えるということもできると思います。


 そのように、ユーザーの声、体温・心拍などの生体情報から人間の感情を読み取る「感情エンジン」は、これから様々なデバイスやロボットに組み込まれる非常に重要な技術になると思われます。この感情エンジンを組み込んだOSは、将来的にAI・ロボット技術の根幹技術になるのかもしれません。




 AIモーターサイクルのイメージ


2.教育


 教育分野は、もっともわかりやすいマインドフルネスビジネス分野です。マインドフルネスを教育プログラムの中に導入した結果、人の心の能力である「集中力」、レジリエンス(対ストレス性)、「創造性」などが向上するということが言われています。


 先進国などでも、貧困地区の公立学校における児童の集中力欠如により学級崩壊が深刻な問題になっているということですが、そのような教育環境の中でマインドフルネスを導入することは、児童の精神の安定と「集中力」の向上、その結果としての学力の向上が見られるという研究なども、ヨーロツパのポジティブ・サイコロジーでの学会などでも発表されています。


 とくに瞑想を中心軸においたマインドネスプログラムの導入は、とくに物理的なものを購入する必要はなく、導入にそれほどコストがかからないことから、安価な投資て公共教育のレベルを押し上げる有効な手段として考えられているようです。


 公共的な教育機関においての児童の学力レベルがあがれば、15〜20年後には、卒業した児童が生産人口となり、生産人口である地域住民の収入レベルがあがり、結果として住民税の向上を見込めるとも考えているようです。


 また、この分野では義務教育だけでははく、社会人教育のなかでもマインドフルネスは期待されています。

 日本で有名なところではマインドフル・リーダーシップ・インスティテュートさんが企業向けのマインドフルネスワークショップを提供していますし米国やヨーロツパ世界という視点でいえばEscape the City というムーブメントが起きていてヨーロツパでは Happy Startup Summer Camp 」という気付きをあたえるイノベーションキャンプやまた日本から発生した、大人のためのイノベーションキャンプ The Life School なども、日本だけではなく韓国に展開されるなど期待されています

 例えば、企業研修などのカテゴリーでは、GoogleやSAPなどですでに導入されているリーダーシップ教育「Search Inside Yourself」などがあります。ストレスに対するレジリエンス(対ストレス性能力)、創造性の向上などの効果を期待されており、今後発展の可能性が非常に大きくなることが期待されています。


 義務教育での事例では、英国議会の有志メンバーによってまとめられたMindful Nation UKというレポートの中で英国のマインドフルネスの導入の可能性に関してレポートしており、その中では、公共教育の中だけではなく、刑務所なかでのマインドフルネス導入が提唱されています。英国では英国議会の中でマインドフルネスを支援する超党派の議員連合があるようで、英国議会において、議員による3分間の瞑想も実施されたということです。


英国議会有志議員らによる“MINDFUL NATION UK”レポート


3.ヘルスケア


 マインドフルネスはストレスに対する、レジリエンス(対ストレス性能力)を向上させ、免疫力を上げることが米国MITの医学部などが中心として行ってきた研究でわかっています。


 日本の大手企業においても、最近は特にメンタル的な問題顔抱えている社員が多い中で、マインドフルネスがそれらの社員の精神的な問題の改善を促すものとして期待して良いでしょう。この分野では、B2Cだけではなく、B2Bの市場のニーズが非常に高いことから、欧米を中心として企業向けのマインドフルネス・ワークショップなどが盛んに導入されています。


 また、米国の一部の病院では、激しい痛みを抱えている患者のためにマインドフルネスが導入され、成果を出していることことから、先進国を中心に医療分野でのマインドフルネスが進むでしょう。


 また、人工知能の発達によって、家庭の中でも音声認識技術を活用し、インターネットでつながったクラウド上で行われて、フィードバックが戻るようなAIが導入されていくでしょう。さまざまなセンサーを用いて人の心理状態を把握することで、人の心を落ち着かせるようなAIコーチングやAIメンタリングなどの市場も広がることが想定されます。


 
4. アート


 瞑想や禅を行い、瞑想中に出てきたイメージなどに触発され、生み出された作品、あるいは音楽なども、今後ますます盛んになって行くでしょう。


 実際に、国内外多くのクリエーターが、禅や瞑想にインスピレーション禅の道場に通っていましたし、今後も其の流れが加速するでしょう。芸術家や小説家などのクリエイティブ人材のなかでも禅や瞑想を実践する人々が増えていくことでしょう。


5.コンテンツ産業


 このカテゴリは娯楽とも重なるのですが、音楽・映画・アニメ・小説・漫画など、人に「気づきをあたえる」ような内容のコンテンツが増えて行く事になります。


 すでに書籍の分野では「自己啓発系」と呼ばれているカテゴリーの書籍が、国内のみらず海外でも確立されています。場合によってはその関連の書籍の売上は頻繁にベストセラーに入ることもあるような流れになってきています。


 また映画の分野でも、おなじく「自己啓発系」「気付き系」とも呼ばれるカテゴリーの作品はフィクションだけではなくドキュメンタリーなどにも広がっていくでしょう。


6. 金融


 「金融」と「マインドフルネス」というと、異なるイメージがするかもしれませんが、「鎌倉投信」さんや、「さわかみ投信」などでやられている、人の顔が見える形の長期的ファンドであったり、場合によっては、プロジェクト共感型のクラウドファンディングや、P2Pのローンなどのソーシャルレンディング、あるいはマイクロファイナンスなどのカテゴリーも、貸し手と借り手とともに、マインドフルな思考ににもとづいて融資・投資をおこなっていく必要がでてくるので、マインドフル・ビジネスの一部として試算に組み込みました。
 


7. 観光


 これまでの観光業は、単純に風光明媚な場所などの観光地めぐることがメインでした。これからの観光は、ヒーリングを目的にいわいるパワースポットを巡ったり、そのようなな場で「リトリート」といわれる
ヨガやマインドフル瞑想などを組み込んだ体験型のツアーが増えていくでしょう。


 「リトリート」の中では寺社仏閣や自然の中でもスピリチュアルな場所などで、瞑想指導者により瞑想指導を受けたり、自然の森に入り、その森の中の沈黙の中で、自分自身を見つめなおすことなど、これまでの観光地へいって、お見上げものを購入するような観光ではなく、人の心の能力を上げるため、「リトリートツアー」に参加したり、リトリート参加者のための、注目ヨガスタジオや瞑想する施設をそなえたホテルや旅館なども必要になってくるのだと思います。


8. 娯楽(ゲーム・アミューズメント・アウトドア・レジャー・スポーツ)


 オンライン・ゲーム、ゲームAPP、アミューズメント・パーク、スポーツの分野などでも、人の心の能力向上や気付きをあたえるものが増えるでしょう。


 大きな変化は、アウトドアやスポーツ分野で、ヨガなどにマインドフルネス瞑想を組み合わせたものや、「トレイルラン」X「マインドフルネス」など、さまざまな既存のスポーツに「マインドフルネス瞑想」を組み合わせるタイプのスポーツが増えていくでしょう。


 「既存のスポーツ」x「マインドフル」が増えると、たとえば野外での瞑想をするのに適したウェアや、ヨガマット、あるいは坐布のようなギアが開発される必要があります。


 また、新たに生み出されたマインドフルなスポーツを教える教室やワークショップなども生み出されることになります。

 以下の様なマインドフルネス X ランニングを掛けあわせた、マインドフルランニングというような新たなスポーツカテゴリーがどんどん生み出されるイメージがです。

 今後はスポーツは、単純に肉体のトレーニングだけではなく、人の意識レベルの向上を目的とし、脳や精神も鍛える新しいカテゴリーの「マインドフルネス・スポーツ」が登場していくことでしょう。

マインドフルネス X ランニング =マインドフルランニング


 


結局、2025年マインドフル・ビジネス市場はどれ位?
〜カナダのGDPと同じ!?〜


 このように各カテゴリーの市場が、どのような変化の兆しがあるのかということを手がかりに、今から9年後の2025年、世界人口が80億人となった時の世界のマインドフルビジネスの市場規模を、現在入手できる数字を基に、様々な産業分野の市場規模から算出を試みたところ、177.6兆円という試算になりました。


 試算してみた我々自身も驚くような数字となったのですが、実に、人類全ての心の能力を向上を示唆するような市場規模の数字となった・・のではないのでしょうか。注:この数値は全くの妄想レベルです。算出根拠は十分に検証されていません、我々の希望的観測に基準に基づくものですということをご理解ください。




 
 本数値の算出方法は、現在手に入る既存の産業分野市場規模の数値から、どの程度が「マインドフル・ビジネス」に移行しそうかを、ざっくり予測してかけていくという、非常に「乱暴な」算出方法にしております。


 この数字だけ見てしまうと、すわ、明日から、マインドフルネス・ビジネスの時代が来る!と勘違いしてしまいそうですが、

 実際にはマインドフルビジネスというものが、全く新たに立ち上がるというイメージではなく、すでに既存に存在している市場の中で、マインドフルネス的な要素を含んだ市場規模が9年間をかけて徐々に増えていくイメージです。


 個人的なブログに書いた、ずいぶん大風呂敷な数字だと思われる方も多いとおもいますが、これが今わたしが感じているイメージを数字にしてみたものです。

 ですので、できるだけはやく海外のマインドフルネス研究機関や、国内でも☓☓総研さんや、△△総研さんなどの、大勢の優秀なアナリストさんたちが、一生懸命数字を試算してソリッドなマインドフルビジネスの市場規模を出していただけることを強く望んでおります。

 さて、そんなマインドフルビジネスの教育カテゴリーの中のサービスとして、中小企業、ベンチャー、大企業向のイベベーション担当者向けに我々が開発した、マインドフルネス瞑想を使った自社製品・サービス開発支援プログラム「zenschool」はすでに16期を迎えました。

 おかげさまで卒業生の方々は、非常にさまざまな製品やサービスが生み出しており、人間の心には無限の能力があると日々感じております。よろしければ体験会をおこなっておりますので、ご参加検討くださいませ。
 

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